
ブランディングには、商品・サービスの価値を向上する商品ブランディングの他、企業価値を向上する企業ブランディングがあります。企業ブランディングにおける活動は、CI(コーポレート・アイデンティティ)の浸透や、VI(ヴィジュアル・アイデンティティ)構築をはじめ、企業ブランド価値の向上に向けた様々な取り組みがあり、なかでも近年では、CSR活動を通したブランディングも多くみられるようになりました。
ブランディングでは「認知度」に加え、「信頼度」が重要なファクターとなることから、近年では、「環境対策(エコロジー)」「社会貢献・地域貢献」「災害支援」「貧困層救援」など、CSR活動を積極的に行う企業が目立つようになりました。近年では、「東日本大震災への支援」、「飲料水を1本購入するとアフリカの子供たちに1円寄付」、「年間に100万本の植林活動」などが代表的な例としてあげられます。これらの活動は、企業の評判や名声を高める行動として位置付けられ、企業価値の向上、すなわち企業ブランディングに大きな役割を果たしています。
CSR活動の一例
企 業 | 業 種 | CSR活動 | 目 的 |
三菱地所ホーム | 不動産 | 国産材の採用 | 海外産の木材を利用する場合の森林破壊、労働環境などのリスクを回避。国内の森林業の再生に貢献。 |
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SUNTORY | 食料品 | 天然水の森プロジェクト | 環境保全に関する活動及び研究。 |
IHI | 機械製造 | 環境負荷低減 | CO2排出量・廃棄物排出量・製造用水使用量等の削減による地球温暖化対策 |
大塚ホールディングス | 医薬品 | 寄贈・植林 | インドネシアの児童に明るい未来と豊かな環境を残すため、図書館と本の寄贈および定期的な植林。 |
情報の90%は視覚を通して伝達されると言われていることから、企業は消費者に向けた自社商品のブランド醸成活動を行い、自社商品やサービスが市場優位となるよう働きかけなくてはなりません。また消費者の判断基準は、商品ブランドに対するイメージに留まらず、ブランド展開を行う企業イメージも消費者判断に大きな影響を及ぼすことから、企業はCIを象徴するロゴマークやロゴタイプをシンボルとして確立させ、企業イメージを醸成することで中長期的な企業ブランディングを図っていかなければなりません。
作れば売れる時代は終わり、消費者は商品やサービスに対し細やかなニーズを持つようになりました。これにより消費者の価値観は多様化し、今まで以上に企業・商品イメージが消費者の意思決定に与える影響が大きくなっていることから、企業は自社及び自社商品・サービスのポジショニングの明確化と、自社ブランドの醸成が不可欠とされています。 ブランドイメージは、企業から発信される視覚的情報の積み重ねにより構築されることから、企業は自社のアイデンティティに則し統一されたヴィジュアルを開発し、中長期的な戦略を持って取り組んでいかなければなりません。